脳波計の世界シェアは新たな市場で日本がリードする
脳波計の歴史の中では、脳波の発見は1875年にイギリスのケイトンにより、脳から発する電気信号から始まり、今日に至るまで多くの改良と進歩によって、現在の医療に寄与しています。脳波計の世界におけるシェアについて歴史と共に確認してみましょう。
脳波計の改良と市場の変化による歴史
脳波計の原型となるのは、1932年にドイツのトニーの研究やアメリカのグラスからの発表が始まりとなっています。最初は真空管を使った機器から始まって、日本でも東北大学によって研究が行われており、実験用としての脳波計を発表しました。
医療機器のメーカー三星電機が商品化となる第1号を発表したのは、1951年になりました。「木製号」と名付けられた臨床用脳波計を第一世代として真空管を使用した時代からスタートしており、三栄測器ならびに日本光電のメーカーが初期の時代を築きました。昭和30年代後半からトランジスタやマイコンを使用した第2世代に入ります。
昭和50年代には、脳波計の分野での需要が世界における市場で、50%を獲得しました。これは、日本の技術が性能の良さと価格の安さから需要が高まったのです。特に注目するのがアメリカ市場で、日本光電製の脳波計を閉める割合が70%を占めていました。
第3世代では、脳波を電子的にファイリングする要求が高まり、日本の脳波計はコンピュータを組み入れる技術に乏しかった為に混迷期に入っています。本格的なデジタル脳波計を開発し、日本光電による国内での販売は、平成5年から始まったのです。
紙への記録にこだわるユーザーが多い為に、デジタル脳波計の特長を活かす事が出来なかった為に、海外でも日本製の脳波計の需要が減少しつつあったのです。
現在は、脳機能をリアルタイムに評価する方法が、脳磁図(MEG)や光トポグラフに移行していますが、てんかんの診断・高次脳機能研究や睡眠脳波には必要な装置として認識されています。脳機能の診断が脳波計だけだった時代からニーズに合わせた需要を確立する事になったのです。また、他の機器と比べても安価である事も起因しています。
日本の脳波計における世界シェア
日本の脳波計は、てんかん、睡眠障害、脳腫瘍などの診断に使われており、一時代には世界のシェアの50%以上を占めるほどの活躍でした。今後は、新たなビジネスとして脳波計を使った「ブレインコンピュータインタフェース」の世界市場が2025年に向けて、2億8,840万米ドルに達すると予測されています。
脳波計ヘッドセットは、市場成長率が年に13%~17%も上がると予測されており、脳波計の今後も医療ヘルスケア、教育、睡眠、マーケティングなど幅広い用途に浸透してゆくと考えられているのです。
特に認知症予知診断に関心を示しており、日本の高齢化社会が脳波計の分野において世界をリードしていく事も考えられているのです。日本の脳波計がかつての世界シェアをリードしていたように「ブレインコンピュータインタフェース」の世界でも新たな活躍が期待できるのです。
まとめ
日本の脳波計は、性能の良さと価格の安さから世界シェアをリードしてきたように、今後は、脳波計を使用した新たなビジネスとして「ブレインコンピュータインタフェース」の世界市場でも活躍する事が期待されています。日本の脳波に関する特許は世界でも上位を占めており活躍する条件が揃っている事も安心できる材料なのです。