CT装置の仕組みと検査の特徴について

診断用機器

人体の断面画像を写し出し、体内の様子を知ることができる医療用CT装置。これはどのような原理からなる装置であり、これを使用する検査にはどのような種類があるのか? 体内の様子を調べる他の検査と比較してどのような点が優れているのか?  その辺りについて見ていきたいと思います。

CT装置の原理

CT装置は、簡単に説明すると、レントゲン検査に使用されるX線撮影装置を改良発展させたタイプと言えるでしょう。X線を人体に照射し、人体透過後の写像を検知・解析することで体内の画像を得るという原理において、CT検査とレントゲン検査双方とも同じなのです。

レントゲン検査は、1方向からのX線照射でレントゲン写真を一枚撮影する方法が取られます。つまり検査によって、平面すなわち2次元的なデータを得るわけです。CT検査では、被検者の横たわる寝台が、ガントリと呼ばれるトンネル型の装置内に入っていく形式で行われます。

ガントリ内部には、X線を照射する管球と、放たれたX線を検知する検出器が向かい合うように配置されています。それらがトンネル構造の外壁内部で回転しながらX線撮影を行うことで、トンネル内の被検者の体内について360°方向からの確認が可能となるわけです。

加えて、検出器に入る人体透過後のX線をデータとして解析し、コンピュータグラフィックとして再構成することにより、あたかも人体を切り開いたかのような断面映像を得ることができます。

レントゲン検査では人体内部の様子が2次元的に写し出されます。その発展型に当たるCT検査では、3次元的な方向からデータを得ることで、人体内部を立体的な視野から捉えることが可能となるわけです。

CT検査の種類

CT装置を用いて、全身至る所の内部の様子を調べることができます。身体各部において何らかの体調不良が見られる場合、それぞれの箇所についてCT検査を行えば、原因解明の大きな手がかりを得られるわけです。実際の検査としての分類と、検査目的および調べられる病症については以下の通りです。

頭部CT検査

◆認知症の疑いがある際の脳萎縮の度合
◆頭部に外傷を負っている際の頭蓋骨骨折・脳挫傷・頭蓋内血腫などの有無
◆高血圧が見られる場合の脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などの有無

胸部CT検査

◆肺ガンの初期状態の発見
◆外傷がある際、肋骨および胸骨の骨折や血気胸の有無
◆息切れの症状がある場合の肺気腫の有無や、肺がしぼむ気胸、血流を妨げる大動脈瘤などの発見

腹部CT検査

◆肝臓、脾臓、腎臓、副腎、胆嚢などについて精密な検査が必要な場合

脊椎・骨CT検査

◆レントゲン撮影のみでは判別し難い骨折の有無

CT検査の優位な点

CT検査は、3次元的にあらゆる角度から採取されたデータに基づく結果が得られるため、レントゲン検査など1方向の視点から2次元的データを取る類の検査に比べて、格段に高い精度があると言えます。

たとえば、肺ガンに関して、レントゲン検査による早期発見は困難ですが、CTを用いることで比較的容易に見つけることができます。また、肝臓ガンや脾臓ガンの発見に関しても、エコー検査のみでは困難な部分が多いのですが、CT検査によってより詳しく精査することが可能となります。

まとめ

以上の内容を要点にまとめると、以下の通りとなります。
◆CT検査とは、X線撮影を3次元的かつ連続的に行い、得られたデータをコンピュータ解析することによって人体内部の画像を得る検査である。
◆CT検査は主に、頭部・胸部・腹部・脊椎・骨について精査を要する際に行われる。
◆CT検査によって、他検査のみでは判定が困難な部分についても調べることが可能となる。

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