脳波計電極の清掃方法について
脳波は脳の機能的断面を非侵襲的に、しかも経時的に捉えられる方法として医療の中で確固とした地位を占めてきました。現在、医療技術の進歩の中で脳波の役割は少なくありませんでしたが、脳波に取って代わる技術は確立されてはいません。ここでは、脳波と電極の清掃方法について語っていきます。
脳波から導き出せるもの
脳波で判別できることは、大まかに言うと、脳が緊張しているか否かということです。脳波はα波、β波、Θ波などの波形に分けることができます。頭を使っている状態ではβ波が現れ、使っていない状態にはα波が現れます。また脳が弛緩している状態ではΘ波という波形が増えてきます。
「脳が緊張している状態」とはストレスがかかっている状態であり、「弛緩している状態」とは、覚醒度の低下している状態、またはリラックスしている状態と言えます。波形を判読するためには専門的な知識が必要です。
清掃と清潔:検査時の電極取り付け方法
さまざまな医療現場で用いられる脳波計ですが、適切に使用するにはまず、電極装着時の注意が必要です。
電極の装着部位の汚れを取る
電極装着部位の皮膚および毛髪の付け根を、アルコールを含ませた綿でよくこすり、脂肪分を浮かせてから、乾いたガーゼで拭き取ります。
ペーストを塗る
脳波用ペーストを直径10mm以下の範囲ですりこむように塗ります。このとき塗布面をあまり広げないようにします。
電極を装着する
電極にペーストを厚さ1mmくらい盛り上がる程度にのせ、接着面に貼り合わせるように装着します。
電極を固定する
さらに薄い脱脂綿の小片で電極をおおい、軽くまわりを押さえます。また電極の固定にはサージカルテープなどを用います。
電極接続箱に接続する
電極の接続端子を、電極接続箱に接続します。
脳波計の清掃について
水またはぬるま湯で電極などに付着したペーストを洗い流します。また、電極に油膜ができると波形がゆがむことがあります。消毒用エタノール、イソプロピルアルコール、または水で薄めた中性洗剤を含ませたやわらかい布で油膜を落としてください。
脳波計で用いるペーストは、電極の固定のための伝導性を持ったものです。 粘度が高く、長時間の測定に用います。 また、外す際は温水で簡単にきれいに洗い流すことができますが、使用後はすみやかに洗浄することを心がけてください。使用後、洗浄せずに放置すると、ペーストが固まり、電極性能が劣化してしまいます。電極表面、コネクタ部に関しては、水分をよく拭き取り、電極表面やコネクタ部をアルコール綿で清掃した後、乾燥させます。
その他、注意点に関しては以下の通りです。
(1)滅菌は行わないでください。
(2)指定の消毒剤以外による清掃・消毒は行わないでください。
(3)熱湯や塩素系漂白剤で洗浄しないでください。
(4)消毒剤は正しい濃度で使用してください。
(5)スプレーなどで消毒を行う場合は、スプレーを吹き付けた後にそのまま放置せず、布などで拭き取ってください。
(6)次亜塩素酸による消毒は行わないでください。
(7)シンナー、ベンジンなどの有機溶剤や漂白剤は、表明の塗装や樹脂部分を傷めますので使用しないでください。
(8)紫外線照射およびオゾンによる滅菌、消毒は行わないでください。
※可燃性の清掃剤や消毒剤の使用には、密閉空間の使用は危険ですので十分な換気が必要です。
まとめ
脳波のおさらいと、電極部の清掃方法について見てきました。電極は繊細な部位であることから、清掃方法にも注意が必要であることをご理解いただけたかと思います。