内視鏡検査に使用されるファイバースコープの原理について

診断用機器

ファイバースコープという内視鏡検査用の医療機器が開発されたことによって、診察が難しいと言われていた人の内臓部分を見ることができる様になりました。今回は、ファイバースコープと内視鏡の原理や誕生のきっかけなどを説明していきます。

内視鏡検査について

はじめに、「内視鏡検査」について確認しておきます。内視鏡検査とは、臓器の中に先端にレンズが付いている屈曲が自由な柔らかい管(ファイバー)を挿入することで、人が見ることが出来ない体の中の様子を検査するものです。公益財団法人内視鏡医学研究振興財団が毎年7月14日を「内視鏡の日」と制定し、胃や大腸などの検査を呼びかけ、病気の早期発見の重要さを考える日となっています。

内視鏡の歴史について

内視鏡の起源は古代ギリシアだと言われています。直接体の中に導光器(Lichtleiter)を入れて観察したのはBozziniという方で、1805年のことでした。1853年には、Desormeauxという方が発明した尿道や膀胱を観察するための医療機器が初の内視鏡となりました。

内視鏡検査の目的とは

先ほども説明しましたが、内視鏡検査の目的は、体の様々な部位を検査することにより、癌などの病気を早期発見し治療を行うことです。それから、検査で見つかった悪性の癌を進行しないうちに切除するという目的もあります。

内視鏡検査の種類について

内視鏡が発明された1853年頃は、尿道や膀胱しか検査することが出来ませんでしたが、今では科学の進歩により様々な体の部位を検査出きるまでになりました。内視鏡の種類には次の様なものがあります。上部消化管内視鏡、膵臓・胆道内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、超音波内視鏡などです。

医療用のファイバースコープとは何か

1960年代に、アメリカで発明された内視鏡の素材となった「グラスファイバー」が注目される様になりました。これは光の屈折率を参考にしたもので、細いガラスで出来た管の中に光を通す繊維のことです。屈折していても先端まで光が届くことから、胃などの消化器に挿入して直接検査することが可能になり、患者さんの体に負担をかけずに治療を行える様になったのです。このことを「ファイバースコープ」と言います。

医療用ファイバースコープの原理について

医療用のファイバースコープの本体は、中心に「コア」というものがあり、その周りには「グラッド」というものがあります。これを「プラスティックプライマリコート」という被膜で覆っています。

医療用ファイバースコープのレンズについて

ファイバースコープのレンズは、一端についています。対物レンズのIGで被写体が映し出され、接眼レンズで拡大することで、像をくっきりと見ることができます。また、レンズの反対側についている「アイピース」で覗くと、患部の内視が可能となります。もしレンズが汚れたとしても、水を吹きかけ、きれいに汚れを落とすという機能も備わっているので衛生面には問題ありません。

まとめ

今回は、内視鏡やファイバースコープの誕生のきっかけと原理について説明しました。ファイバースコープを使用することで、レンズで患者さんの体の様々な部位を映し出し、医師が肉眼で検査できる様になり、病気の早期発見が可能となりました。

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