うつ病の早期発見が期待されているMRI検査について

診断用機器

これまでうつ病の診断は問診によって行われて、診断結果に客観性が乏しいと言われてきました。この問題点は、MRI検査を行うことにより解決出来るという研究結果も出ています。今回は、MRI検査によるうつ病診断について説明していきます。

うつ病について

うつ病の症状は、精神面では気分が落ち込むことでやる気を無くすことや、身体面では睡眠障害や食欲の変化といったものがあります。この様な状態が長期間続いたり繰り返したりするため、学業や業務に影響が出てしまうこともあります。年々増加しており、自殺や引きこもりなどの原因となっています。そのため、医師の適切な診断および治療法の適用が求められています。

うつ病の原因とは

うつ病は、脳内の神経伝達物質であるモノアミンが減少することで発症するとされていますが、原因は様々です。例えば、人間関係がうまくいかない時や何らかのトラブルに巻き込まれたり、環境の変化のストレスによって発症したりすることも考えられます。それから、糖尿病や脳卒中などの病気が原因となることもあります。

MRIについて

正式名称は、「Magnetic Resonance Imaging」(磁気共鳴画像撮影法)と言います。つまり、強力な磁石と電波で細胞組織の動きを画像に映し出し検査をするものです。MRIでは、脳・脊椎・関節などの動きが少ない部位の検査に使われています。被ばくの恐れもなく造影剤も服用しないので、身体への負担が少ない検査法です。磁場を変化させるため、検査中には大きな音が出るのが大きな特徴です。

MRIを受診出来ない患者さんについて

次にあげるものに当てはまる方は受診出来ません。心臓ペースメーカーを埋め込んでいる・人口内耳または人口中耳を装着している・金属製および可働型の義眼を装着している・神経刺激装置を装着しているなどです。また、他の手術によって体内に金属が入っている方や妊娠の可能性がある方、そして刺青がある方の場合は、受診時に相談・確認が必要となります。

うつ病の診断方法について

うつ病は採血や血圧測定などでは判断出来ないので、患者さんの問診票をチェックして、アメリカ精神医学会や世界保健機関が出しているうつ病の診断基準を参考に診察が行われています。診察内容としては、どんな症状に悩まされているのか、いつ頃症状が出始めたのか、家族にも同じ症状を持った人がいるのかを確認します。付き添いがいる場合には、患者の生活状況を聞いてみるのも良いでしょう。

うつ病診断の課題について

前述した様に、うつ病の診断は問診票と診察内容で行っています。しかし、その方法では正しい診断が出来ないという課題があり、様々な研究が行われています。治療に使われている抗うつ剤は、効果を感じるまでに時間がかかってしまうという研究結果もあります。また双極性障害と症状が似ていることから、治療法は異なるものの、判別が難しいとされています。これらの問題点を解決するであろうと期待されているのが、MRIを使った検査です。

正しいうつ病診断が期待されているMRI検査について

うつ病は心の病と言われていますが、脳の働きとも関係があると言われています。そこでMRIを用いて双極性障害とうつ病の患者さんで脳の画像を撮り、脳の体積を計測するという研究が行われました。双方の脳を比べてみると、感情と思考を調節する「背外側前頭前皮質」と「前帯状皮質」の2つの部位の体積が双極性障害の患者さんの方が小さいという結果が発表されています。

まとめ

問診票のみでの診断では、適切な治療法を処方することが難しいとされています。うつ病は脳の働きとも大きく関係しているとの研究結果も出ていることから、化学の発達により進歩しているMRI検査でのうつ病診断が期待されています。

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