知っておきたい! CT装置の仕組み

診断用機器

身体を傷付けずに被験者の体内の様子を知ることのできる検査法として広く普及しているCT検査。被験者の負担が小さく、体内の様子を詳細に知ることのできるCT装置は、今や医療機関にとって欠かせない存在です。今回はそのCT検査装置の仕組みについて、おさらいしてみましょう。

CT検査とは?

CT(Computed Tomography)はコンピュータ断層撮影法の略称です。このCT装置を使った検査をCT検査と呼びます。CT検査はエックス線を用いた検査の一つで、被験者の身体を傷付けずに身体の断面を診ることのできる検査方法です。特に心臓、気管支、肺などの胸部、内臓など腹部の疾患を見つけるのに高い効果を上げることで知られています。

CT装置の仕組み

CT検査では、CT装置のエックス線管からエックス線を照射しますが、照射されたエックス線は、被験者の身体を通過した後、エックス線菅の向かい側にある検出器で受け止められます。CT装置は1秒間に何回転もして、高速で連続した断面の撮影を行います。

エックス線菅も検出器もかなりの重量がある装置ですので、それが高速で回転すると、CT装置のガントリ(筐体)には、50G程のG(重量)が掛かります。因みに遊園地のジェットコースターで掛かるGが5G程度ですので、そのすごさが判ると思います。そのためCT装置のガントリは高いGに耐えられる様に、極めて頑丈に作られています。

ガントリ内部でエックス線管と検出器が高速で回転している間、被験者を乗せた寝台はガントリの開口部をスライドします。これにより、被験者の身体のあらゆる箇所の断面図を得ることが可能となります。

エックス線はエックス線管から照射された後、被験者の身体の内部を通過します。その際に、臓器、筋肉、脂肪などの組織毎にエックス線の通過し易さは異なります。この差を利用して、被験者の体内の様子を知ることを可能とする医療機器がCT装置なのです。

被験者が乗った寝台をスライドさせ、連続して断面図を撮影することをヘリカル撮影と呼びます。ヘリカル撮影が登場する前のCT検査は、断面図を一枚撮る毎に寝台を静止させる必要がありました。

そのため検査は長時間に及ぶ場合もあり、患者の負担も現在に比べると大きなものでした。現在主流のマルチスライスCTと呼ばれる、一度に複数の断面図を撮影できる装置では、広範囲の断面図をより短時間で得られるため、被験者の負担は軽減されています。

被ばく低減化の技術開発

CT検査は、従来のレントゲン撮影程ではないにしろ、一定量の被ばくを伴う検査方法であることには違いありません。CT装置のメーカーは被験者の被ばく量をより低減するための技術開発に取り組んでいます。

画質を維持しながらノイズとストリークを低減する技術。最新のCT装置では、統計学的ノイズモデルやスキャナーモデルを使い、ノイズを低減しています。また、アナトミカルモデルを使って画像再構成時のノイズ成分を抽出して除去しています。これにより、大幅なノイズ低減と被ばく量の低減を実現しています。

まとめ

今回は、医療現場で活躍するCT装置の仕組みをおさらいしました。この記事がCT装置への理解に些少でも役立てば幸いです。

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