CT装置の耐用年数が意味するところとは

診断用機器

あらゆる医療機器に設定されることとなる耐用年数。CT装置もその例外ではありません。その耐用年数とは、どういった意味合いを持つ指標なのでしょうか? また、CT装置における耐用年数は何年と定められているのでしょうか? CT装置の特徴を踏まえつつ見ていきましょう。

CT装置の概要

検査対象にX線を360°方向から照射し、その写像をデータ解析することによってCG上に再現することにより、人体内部を立体的に観察可能とする医療機器。簡略的に表現するならば、CT装置そのような機器と言えます。レントゲン検査と同じく、物体を透過する放射線の性質を利用した検査法に相当するわけです。

CT装置は主に3つの部分から構成されています。被験者が横になる寝台・クレードル、中央に開口部を持つドーナツ状のガントリ、装置全体の操作と画像解析処理を行うコンソール,
それら3つです。

大まかな検査の流れは以下の通りです。

まず、患者さんを載せたクレードルがスライドしてガントリの開口部へ入っていきます。
ガントリ内部には、中央の開口部を挟んでX線管球と検出器が向かい合うように配置されています。その2つは開口部を中心に円状に回転し、それと連動しながらX管球はガントリ上の患者さんの身体にX線を照射するわけです。

患者さんの身体を透過したX線は検出器に入り、これをデータとしてコンソール部でコンピュータ解析がなされ、体内の画像が写し出されることとなります。

ガントリおよびクレードルの動作により、人体内部を立体的に表示することも可能です。
体内の状態を直接的に調べられる手段として、医療現場に大きく貢献している機器と言えるでしょう。

耐用年数とは

CT装置の耐用年数について調べる前に、耐用年数の基本について抑えておきたいと思います。耐用年数とは経理上の概念であり、資産の減価償却可能期間を意味する指標です。

減価償却とは、資産購入に用いた出費に関して、数年に等分割して計上する会計処理を指します。主に、設備や機械類その他器具備品など、年数の経過とともに価値が減少していく資産の収支を表す際に用いられる方法です。

資産の購入費用を何年に渡って当分割すべきか、その年数が耐用年数に相当するわけです。

病院などの医療機関にとって、医療機器は資産に相当します。加えて医療機器は経年劣化するという側面を持ち合わせていることから、減価償却の対象と見做されることになります。
適切な計上がなされることで、行政に納めるべき課税額の決定が適正に行われるなど、医療機関の経済活動が合法的に行われているという証明ともなるわけです。

なお、医療機器が使用可能と見做される年数に関しては、耐用期間という指標が用いられます。これは、薬機法の規定に基づいて機器メーカーによって設定され、定期点検の履行など正規の使用法・管理法を踏まえた上で安全に使用できる期間を意味するものです。

CT装置の耐用年数

減価償却の対象となる資産に関しては、あらかじめその種類ごとに耐用年数が定められています。国税局が公示している耐用年数表から確認が可能です。

医療用CT装置の耐用年数についても、その表を基に調べることができます。

しかし、医療機器の名称ごとに耐用年数が記載されているわけではありません。機器の特徴や性質ごとに分類がなされる形式が取られています。そのため、確認の際にはCT装置の特徴・性質と照合しながら、どの項目に該当するのか判別していくことが必要です。

実際に確認を行う際には、以下のような手順を取ります。

まず、表内左端列に該当する「種類」の項目については「器具および備品」とします。次なる左から2列目の「構造または用途」の項目では「8.医療機器」となります。

次なる左から3列目の「細目」では、CT装置の特徴と照らし合わせると「レントゲンその他の電子装置を使用する機器」であることが言えますので、そこに当てはまります。この項目は、「移動式・救急医療用・自動血液分析器」と「その他のもの」に分けられており、CT装置の特徴から「その他のもの」に該当することが言えるわけです。

そこまで照合が進めば、その隣である左から4列目「耐用年数」の枠に記されている年数が答えとして導き出されることになります。

このように調べていくことにより、医療用CT装置の耐用年数は6年であると確認できるわけです。

まとめ

以上のように、CT装置および耐用年数の基本を抑えつつ、耐用年数表からCT装置の耐用年数を調べた結果、6年であることが解りました。

医療機器にとって耐用年数は会計上重要なものとなります。しかし、実際の機器の使用保証期間を意味する耐用期間とは主旨が異なる指標であることを認識しておくべきと言えるでしょう。

ピックアップ記事

関連記事一覧