原理から理解する、MRI装置の基本的な構造

診断用機器

体内の様子を画像に映し出すMRI装置。切開するリスクを踏むことなく人体内部を観察できるこの医療機器は、現代の医療に大きく貢献するものです。これはどのような仕組みで機能し、どのような構造を成しているのでしょうか。基本を抑えながら見ていきましょう。

MRI検査の基本原理

磁気共鳴現象を利用し、物体の内部構造を知る装置がMRIです。磁気共鳴とは、磁気の影響を受けている領域である磁場に、特定の周波数を持つ電波が入ることで引き起こされる現象となります。

それがどのような形式でMRIの機能に応用されているのでしょうか。まずはそこから見ていきたいと思います。

あらゆる物質は、原子核と電子から成る原子によって構成されています。血・肉・骨格など、人体を構成する体組成も例外ではありません。成分的に極めて小さい領域にまで分解していくと、原子あるいは数種の原子から構成される分子に至るわけです。

人間の体組成には、水分すなわち水分子(H2O)が多く含まれることから、その構成元素である水素原子(H)の原子核も多量に含有していることとなります。MRIは、その水素原子核に磁気共鳴現象を及ぼす装置となるわけです。

原子核は、天体と同じように自転すなわちスピンする性質を持ち、これにより原子核各々が向いている方向を識別することができます。

人体に存在する水素原子核について、自然な状態での向きは各々バラバラです。しかし強力な磁場内に置かれると、全て同一方向に向くことになります。

磁場の影響下にある水素原子核に、そのスピンと同じ周波数の電波を当てると、原子核の向きを特定の方向へと変化させることが可能となります。この現象が磁気共鳴というわけです。

磁気共鳴で向きを変えられた原子核は、電波の照射を止めると元の磁気影響下の向きに戻ろうとします。この時、水素原子核が含まれる体組成の違いによって、戻るスピードに差が生じます。

その戻りのスピードの違いをデータとして検出し、コンピューター解析によって画像化することによって、体内の状態を視覚的に表すことができるわけです。

MRI装置の構造

前項で述べた原理を実現するMRI装置の構造について見ていきましょう。

装置外観は、横向きの円筒型装置に患者さんを乗せた寝台が入っていく仕組みになっています。

円筒型装置には、超電導磁石・高周波コイル・傾斜磁場コイルが内蔵され、検査に際して患者さんの検査部位には受信コイルが装着されます。これらが、磁気共鳴現象を観測する上で必要な装置部品です。

超電導磁石は、患者さんの身体に強力な磁場を及ぼす役割を成します。高周波コイルは、水素原子核の向きを変化させる電波を発生させるための部品です。

傾斜磁場コイルは、データ検出中に磁場を発生させ、全体の磁場に変化を与える働きを成します。

水素原子核それぞれの位置を的確に捕捉するために用いられます。

受信コイルは、原子核の向きを変える電波を停止させた後、向きが戻る早さを検出する装置です。向きが戻る際に原子核から放たれる電波をキャッチすることにより、データを得る仕組みとなっています。

なお、超電導磁石は電磁石となっており、電気を用いて磁気を発生させています。磁力を強力なものとするべく超電導が利用され、その条点である超低温状態を維持する必要があるわけです。そのための液体ヘリウムを用いた冷却機構も、円筒型装置内に備えられています。

まとめ

以上のようにMRIは磁気共鳴現象を応用して人体内部の画像を得る検査手法であるという原理を踏まえつつ、装置の構造について確認してまいりました。装置の原理や構造を認識しておくことで、より効果的な医療に繋げていけるものと思われます。

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