身体の健康維持に欠かせない健康診断の歴史と検査機器の変化
新年度を迎えるタイミングには、学校や企業など様々な場所で健康診断が実施されます。
そこで、身体の健康維持に欠かすことのできない健康診断の歴史と、検査機器がどのように変わってきたかなど説明していきます。
生活習慣病予防を目的とした内容へと変化
もともと日本の健康診断は1911年に制定された工場法により、結核や赤痢などの感染症が蔓延することを防ぐ目的でスタートしました。
1947年には労働基準法、1972年になると労働安全衛生法が新しく制定され、事業者には労働者の健康診断が義務づけられるようになったようです。
労働安全衛生法が制定されたときの検査項目は、身長・体重・視力・聴力・胸部エックス線・血圧・尿検査でしたが、1989年からは貧血・肝機能・血液検査・心電図検査も追加されています。
さらに1998年になると、HDLコレステロール・血糖検査が追加され、2007年には腹囲・LDLコレステロールも追加され、生活習慣病リスクに関係する項目が多く加わったといえます。
検査機器と診断技術の革新的な進歩
検査機器や診断技術も、従来と比較すると革新的に進歩したといえます。
主な進歩として、次の4つが挙げられるでしょう。
・CTやMRIを使った断層撮影検査
・デジタル化された検査画像
・内視鏡のコンパクト化
・AIを使った機器の登場
それぞれ説明していきます。
CTやMRIを使った断層撮影検査
画像診断では、X線検査で異常が疑われるときのCT検査が挙げられます。
体の断面を輪切りした画像を撮影できるため、病巣の位置や形状などを確認しやすく、的確な診断も可能となりました。
また、磁気を使うMRI検査でも、症状のない隠れ脳梗塞など発見できるようになったことは、大きな進歩です。
デジタル化された検査画像
X線検査・CT検査・内視鏡検査など、画像検査もすっかりとデジタル化されるようになり、診断の精度が高まりました。
さらに、種類や時期の異なる画像データを瞬時に確認することが可能となっています。
内視鏡のコンパクト化
内視鏡はコンパクト化され、挿入する管も外径約5mm程度といった極細のものも開発されています。
しなやかさがあるため、口だけでなく鼻から入れて検査することできるなど、内視鏡検査による吐き気や不快感が軽減されるようになりました。
AIを使った機器の登場
さらに近年ではAIを搭載した機器も登場するようになり、医師の診断負担を軽減できています。
検査薬剤の進化
画像診断検査に使う薬剤として、バリウムが挙げられます。
味や喉越しを苦手とする方は少なくありませんが、飲み終わるまで時間がかかるものでもあります。
20年くらい前なら、バリウムを400〜500mLは飲まなければなりませんでしたが、今では150mLと3分の1まで抑えることができています。
味もイチゴ・バナナ・ヨーグルト・コーヒー・ミックスジュースなど豊富な種類が準備されており、飲む負担を軽減する工夫がされているといえます。