磁石と電波を使う医療機器「MRI」とは?検査の特徴やCTとの違いを解説
医療機器のうち「MRI(Magnetic Resonance Imaging)」を使った検査とは、治療を開始するよりも前にがんの有無や広がり、他臓器への転移などを調べることを目的として行われます。
また、治療後の効果の判定や再発の有無の確認など、使用される目的は様々です。
強力な磁石と電波を使い、トンネル状の装置の中で磁場を発生させて行う検査で、周波数の電波を体にあてて体内の断面をいろいろな方向から画像に映し出します。
そこで、磁石と電波を使う医療機器「MRI」検査の方法や特徴、CTとの違いを解説していきます。
MRI検査の方法
「MRI検査」とは、コイルと呼ばれる専用用具を撮影したい部位に装着し、自動で動くベッドに寝た状態で撮影して検査を行います。
自動でベッドが動き、トンネル状の装置の中へ入ると、磁場が発生します。
装置からは音がするため、CT検査よりも音がうるさいという印象で、時間も15~45分と長めですが、体を動かせば画質を低下させるため、同じ姿勢を保つことが必要です。
検査の目的次第で造影剤を口から入れることや静脈から注射することもあり、磁石や電波など使用するためペースメーカーや人工内耳などの金属類や磁石を使ったインプラントを埋め込んでいるときは検査を受けることができない場合もあります。
MRI検査の特徴と有用な診断
MRI検査は、病気発生部分と正常組織の信号の差が画像上にあらわれやすいため、脳・肝臓・乳腺・子宮・卵巣・前立腺・骨軟部など、CT検査をしても正常な組織と区別しにくい臓器のがん診断に有用な検査です。
がんが発生しているか、浸食しているかなど判断しやすく、X線を使用しないため被ばくの心配がないことがメリットといえます。
MRIとCTの違い
MRIは磁石や電波を使うのに対し、CTは放射線を使って体内を撮影することが大きな違いです。
MRIなら被ばくの心配がなく、濃度分解能も優れているのでコントラストがよく見えます。
しかし検査時間をかけたくないときや、空間分解能はCTのほうが優れているので、細かく見ることができます。
臓器ごとでMRIとCTのどちらか、それぞれの違いを理解した上で選んだほうがよいといえるでしょう。
たとえば頭部の検査なら、脳や脳血管に造影剤を使用せず撮影できるMRIのほうがよいといえます。
肺の検査の場合、MRIは肺野(空気)の信号強度が低く、石灰化の存在診断が困難なため、空間分解能はCTよりも劣ります。
そのためCTの方が圧倒的に優れているといえるでしょう。