脳波計の検査における一般的な運用方法
脳波検査は専門の医療機関において主にてんかんの診断や治療に活用されてきました。最近では脳とコンピュータをつないで脳波を利用してさまざまな活動に役立てるといった取り組みも行われています。
ベンチャー企業「EMOTIV」では脳とコンピュータを接続して脳波でドローンを前に飛ばすといった研究を行なっています。また、マークザッカーバーグCEO(Facebook)は脳から文字を直接入力する方法について研究を進めており、実用化できればALSなどの神経難病患者でも意思疎通ができるようになることが期待されています。
このように一般に周知が進んでいる「脳波」ですが、臨床においての脳波測定には専門的な知識や判読能力が必要です。
○脳波検査の運用方法
①検査目的の確認
検査を開始する前に担当医師からの検査目的を確認しておきます。あたりまえですが、患者様の基本情報もあわせて確認しておきましょう。(主疾患、経過、現病歴、既往歴、検査結果(前回の脳波検査結果)、投薬、年齢、性別など)
不明な点があれば担当医師に問い合わせましょう。
②記録の点検を実施する
デジタル脳波ではモンタージュ導出を実施する前にシステムリファレンス電極を基準とした誘導を全電極部位10秒以上の記録をあらかじめ行っておきます。これは電極単位ごとの増幅器の点検となるので必ず実施しておきましょう。
③記録感度の設定
標準的な感度は「10μV/mm(50μV/5mm)」を基準にしておきます。検査の目的に応じて5倍、2倍、1/2倍、1/5倍の感度に変更します。
④記録速度の設定
標準的な記録速度は「30mm/秒」を基準としましょう。入眠を待つ場合には速度を 10~15mm/秒へ変更しても問題はありません。
⑤記録時間の設定
標準的な脳波検査の記録時間は30分以上(モンタージュごとに2分間程度の連続記録)が望ましいとされています。睡眠時の検査を実施する際には入眠待ち時間や睡眠段階において必要な時間を設定します。
⑥記録中の記載事項について
脳波の検査中には状態の変化や機器の設定変更を行った際などを随時記録用紙へ記入、デジタル脳波計ではイベント入力を行う必要があります。てんかん発作を起こした場合には記録しておくと共に必ず担当医師へ報告しておきます。
・患者様の閉開眼や体動などの状態変化
・刺激による反応
・混入した雑音の種類(原因)
・モンタージュや感度、記録速度、フィルターなどの設定
・てんかん発作