【mri・PET・SPECT】血流動態を評価する検査について
脳梗塞などの閉塞性動脈硬化症などのいわゆる「血管障害」では血液の循環が障害されることでさまざまな病態が現れます。とくに脳血管の障害は生命にも関わる重篤な病態になることもあり、血管障害(血流動態)の診断や検査は重要な指標となります。
血流動態の検査はPETまたはSPECTが一般的です。
○PETとは?
PET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影)は一般的にがん(腫瘍)の検査として知られていますが、脳血管の血流動態を検査する目的でも利用されます。ポジトロン(陽電子)という特殊な電子を放出する薬剤を体内へ投与してその分布をカメラで撮影するという原理で検査を行います。
脳血管のPETは血流・代謝の状態を定量画像として表出することで脳血管疾患の状態を評価して治療方法の検討や治療に対する効果判定をすることができます。
○SPECTとは
SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography:単一光子放射断層撮影)はシンチグラフィを応用したもので、放射性同位元素で標識された薬剤を体内に投与して放出する放射線を画像に表出することで薬剤の分布を調べます。それを断層画像にしたものをSPECTと呼びます。使用する薬剤によってさまざまな部位の検査をすることができますが、脳血管の検査では脳血管の血流が十分か、アルツハイマー型認知症などの変性疾患において脳の血流はどうかなどの評価をすることができます。
○mriによる血流動態の検査
mri検査では従来の画像による形態的変化の評価だけでなく、血液の循環動態を評価することも可能です。PETやSPECTは放射線による被曝があるため、検査に不安を感じる患者様も多くおられましたが、mri検査は放射線被曝の心配はなく、検査の費用も比較的安価であることから検査の普及が進んでいます。
mri検査による血流の検査は造影剤を投与して検査を行う場合が一般的でしたが、造影剤を投与することによる副作用の少なからずあるため、造影剤を用いない検査が注目を集めています。
ASL法(Arterial Spin Labeling)は造影剤を用いない検査として利用が進んでいます。毛細血管のレベルでの血流動態を表出した画像(灌流画像)を得るために動脈血中の水分子のスピンを内因性トレーサとして利用することで血流を検出します。非侵襲的な検査であるため、繰り返し検査を行うことができるというメリットがあります。