MRIの原理について

診断用機器

【はじめに】
誰でも「MRI」という言葉は耳にしたことがあると思います。身体を輪切りにしたような画像を見て医師が診断に使うものですが、では一体MRIがどういった原理の元、画像化されるのか見ていくことにしましょう。

【MRIの撮影原理】

そもそもMRIとは、「Magnetic Resonance Imaging」の頭文字を取った略語で、日本語で言うと、「核磁気共鳴画像法」といいます。ここで知っておいてほしいのが、最初の単語である「magnetic」
日本語に直訳すると「磁石・磁気」という意味になります。要するに磁石を使った撮影機器だということをまずは理解してください。

・撮影原理は磁石の力
小学校の時の理科の実験を思い出してみてください。紙の上に砂鉄をまいて、裏から磁石を当てるとN極とS極に向かって弧を描くような現象がおきます。これが「磁場」です。
磁石の磁場に沿って、砂鉄が規則正しく整列をしますが、MRIもこの原理を応用しています。ここで着目したいのが、「磁石=MRIの装置」「砂鉄=体内の水分」として考えてみてください。磁場の力(MRI)を利用して、体内の細胞や組織に存在する水分を規則正しく整列させることで、コンピュータがそれらを読み取り画像化することができるのです。
MRIの撮影に長い時間がかかるのは、水分を整列させるために時間がかかるのが原因なのです。おおよそですが、30分~1時間ほどかかります。それと気になるのが、大きな共鳴音です。これは磁場のかけ方によって、整列のしかたも変わってくる撮影方法だからです。

・水分を利用するから椎間板も写る
ヘルニアで有名な椎間板ですが、X線を使ったレントゲン撮影ではX線が透過してしまい画像には写りません。ところがMRIでは、水分を利用していますので椎間板でも画像化することができます。
血管を、造影剤を使わずして3D化できるのは、水分の微妙な差でもコントラストをつけることができるからです。

・核磁気共鳴の原理
少し専門的な説明になってきますが、多くの原子核はそれぞれ固有の角速度で回転(スピン)しています。原子核は電荷をもっており、スピンはその軸のまわりを流れる電流と同じ効果をもちます。これはコイルに電流が流れる現象と同じで、等価的に棒磁石のような性質を持ちます。先にも述べましたが、棒磁石がMRI装置、電流が体内の水分と理解してください。

【まとめ】

MRIは放射線を使わないので、もちろん被ばくの心配はありません。産婦人科の領域では、超音波検査と並んでメジャーな検査方法になっています。病院などでMRIの検査を受ける機会があれば、ここまでに述べてきたことを思い出していただけると幸いです。

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