血圧計の新たな活用法とは?
【はじめに】
血圧の数値は、心臓病や脳卒中などの血管に関する疾患を予防・発見するのに役立ちます。
そのため、血圧測定は健康診断などでも一般的な検査となっています。
40年ほど前までは、医師が聴診器で患者の腕の脈動の音を聞きながら、水銀柱というメモリがついた血圧計を用いて血圧測定を行っていましたが、時代とともに血圧計の機能は改良され、現在では腕に巻くカフの調整から数値の算出までを自動で行うまでになりました。
また家庭用の血圧計も販売され、持病がある人や中高年層の健康管理に役立てられています。
今回は、近年注目されている血圧計の新機能についてまとめます。
【血圧計の新たな活用法】
1.血圧計の機能
血圧計では、上腕部(二の腕)にカフを巻き付け、腕の血管に対して加圧・減圧し、それによって生じる脈動を数値化して表示します。
今では計測開始のボタンを押せば一連の動作を自動で行う機能が当たり前となっていますが、現在の血圧計の形になるまで実に20~30年もの時間が費やされました。
2.近年の血圧計
近年は血圧を測るだけでなく、計測データをスマートフォンやパソコンに転送して管理できる機種も販売されています。
本体には近距離無線のBluetoothとNFCが搭載され、スマートフォン側では専用アプリをダウンロードしてデータの送受信を行う仕組みです。
スマートフォンやパソコンなどの身近なIT機器を活用することで、血圧の記録・管理が簡単に行えるようになっています。
データ転送機能は新型の家庭用血圧計に搭載されていますが家庭だけではなく、病院でもこの機能を活用する実験が行われています。
2016年、慶応義塾大学病院で、データ転送機能付きのオムロンの血圧計と、Apple社の腕時計型のIT機器「Apple Watch」を患者に貸し出し、診療に役立てるという臨床研究が行われました。
これらの機器を活用することで、患者は自宅で測った血圧データをiPhoneやApple Watchに転送し、自分の健康状態を簡単に把握できます。また、医師側でもリアルタイムでデータの確認ができるようになっています。
こうした取り組みは、デジタル診療の先駆けとして、医療分野からもIT分野からも注目を浴びています。
【最後に】
今回は、血圧計の新機能についてまとめました。
家庭用血圧計の登場で血圧を自宅で測れるようになっただけでも画期的な動きでしたが、さらに、血圧の記録や医師とのデータ共有まで簡単に行えるようになりました。
高機能なIT機器の普及により、医療機器はとても身近な存在となってきています。