脳梗塞を見つけるためにMRI検査を行う場合について
【はじめに】
脳内で血液循環障害を起こし急に倒れてその後寝たきりになってしまう病気を脳卒中といい、脳梗塞や脳出血といった種類があります。
脳内の血管が詰まったり細く狭くなる状態が続いた場合、その組織が壊死してしまうことを脳梗塞、脳内の動脈が切れてしまうことでひきおこす症状を脳出血といいます。
脳梗塞の診断のためにMRI検査またはCT検査を行います。今回はそのことについて説明したいと思います。
【主にするのはCT検査から】
脳梗塞と疑われる患者さんがまず受けるのはCT検査です。
病院に来た時点ではまだ脳梗塞なのか、脳出血なのかどちらかわからないときがあります。
CT検査は出血をとらえることを得意としており、新しく出血が起こった部分を確認することができるので、脳出血を確認するのに適しています。
そのほか、MRI検査は20分~1時間ほど時間がかかるのに対しCT検査は5~10分程度の短時間で行えます。
これらの理由から、CT検査が先に行われます。
【脳梗塞をMRI検査するのは】
脳梗塞は発症から約2週間の間を急性期と呼び、その後約3~6か月を回復期、その後は生活期(維持期)と呼ばれるようになります。
発症後6~8時間程度の急性の脳梗塞はCT検査では診断できないことがあります。そのできたばかりの脳梗塞を診断するのにMRI検査が行われます。
そのほか、MRI検査はCT検査より解像度の高く細かい小さな病変を観察することが可能です。たとえば小脳や脳幹といった骨に囲まれた部分などCT検査で見づらい部分を見るのにMRI検査は優れています。
【MRI検査のデメリット】
MRI検査は磁場を利用して行うため、体内に金属が入っていたりペースメーカーを使用したりしている患者さんが利用することはできません。しかし倒れてすぐ病院に運ばれた患者さんはペースメーカーを付けているかどうか判断が難しいことが多いです。
またMRI検査中は大きな音がしますし、長い時間ドーナツ状の機械の輪の中にいるのが苦手(閉所恐怖症など)という患者さんもいます。
【まとめ】
発症後6~8時間程度でCT検査ではわからない脳梗塞にMRI検査は使われます。またMRI検査とCT検査のメリットとデメリットを考え、患者さんのケースに合わせてどちらかの検査を行います。
本人にはっきりした自覚症状が無くてもMRI検査やCT検査で脳梗塞や脳出血の可能性がある脳卒中が見つかるというケースもあります。中高年になったらMRI検査やCT検査のある人間ドックを受けることも病気の早期発見に効果的であるといえるでしょう。