脳波計の標準感度とは

診断用機器

脳波計は、人の脳に流れる電気の活動を記録して異常がないか測定する機械です。
またその測り方を変えることで特定の病気や状態を診断することもあり、その際に標準感度という言葉を使います。今回はそのことについて説明したいと思います。

【脳波計で診断すること】

脳波計では様々な症状や病気の状態を見ますが、例をあげるとてんかん、意識障害の診断や脳死判定をするときに使われます。

【測定の仕方】

患者さんはベットにあおむけに寝てもらい、頭に電極を数本クリーム状ののりで貼ります。脳波計測定による痛みはありません。検査時間は通常30分ほどで終わりますが、場合や測定の仕方によっては2時間ほどかかることもあります。
測定前、脳波計が正常に作動するかどうかチェック後、測定してデータを分析します。

・紙送りスピード(記録するスピード)は通常3cm/sec、睡眠ポリグラフ検査をするときは1.5cm/secで行います。

・基線(記録する線)に揺れがないかチェックします。

・ペンの配列が等間隔であるか、ペン圧が適切であるかチェックします。

・感度の振幅は50μV/mmですが、脳死を判定するときは4倍以上感度を上げます。
(脳死判定の際、標準感度の校正電圧50μVで、感度10μV/mm→高感度の校正電圧10μVで、感度2μV/mmといったように感度を変えることをします。)

・低域遮断フィルターをチェックします。高域遮断フィルターは使用するときとしないときがあります。
フィルターには判読の正確性を高めるために低域遮断フィルターや高域遮断フィルター、交流障害(電気の障害を取りのぞく)ハムフィルターの3つの種類があります。

・目を開閉したり、光刺激、音刺激を与えて計測することもあります。

・意識障害の診断や脳死判定の際には痛み刺激が必ず行われます。

・頭部外傷、脳手術後や3~14歳時、中高年の軽睡眠時、頭痛などでもてんかんに似た測定データが出ることがあります。それを踏まえてんかんであるかどうかを診断します。

・脳波計測定データは、感度やフィルターの条件を変えることで違う波形が現れることがあり、それを正しく読み取るには専門知識が必要になります。
脳死であるか判定するときにもいくつもの手順や決まりが存在します。
てんかんは誤診されることも多いと言われ、脳波計の検査結果のデータを読み間違えて誤診があることから、てんかんの治療は専門医が担当をするべきという意見もあります。

【まとめ】

脳はまだわからないことも多い分野です。それでも日々脳波計を使いもっとより良い診断ができるよう研究が進んでいます。そのデータグラフを読み取るには標準感度などここで書いてあることよりたくさんの専門用語があり、専門的な知識はかかせません。
しかし研究がすすめば病気を治すこと以外にも、人とは何か、脳はどんなしくみになっているかなどもっと新しいことがわかる可能性があります。

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