心電図に起こるダブルカウントとは?
【はじめに】
心臓の活動を体につけた電極から電流や電圧の変化を測り、そのデータを図面にします。その図を心電図といいます。その心電図から心臓に異常がないか、何かの病気でないかを読み取ります。
心電図ではときどきダブルカウントという現象が起こることがあります。これはどのような現象なのでしょうか。今回はそのことについて説明したいと思います。
【基本的な心臓の動き】
心臓の中には「洞房結節」と呼ばれる心筋の塊があります。洞房結節は心臓のリズムを決めるところで、ここから発生した電気信号の指令が「心房」を収縮させ、同じく心筋の塊である「房室結節」を経て「心室」を収縮、拡張させます。
心房、心室はともに左右に分かれており、右心房・左心房・右心室・左心室があります。
この一連の動きで心臓はポンプのように収縮と拡張を繰り返し、血管を通して全身に血液を巡らせます。
【心電図が正しいとは限らない?!】
心電図イコール心臓の動きであれば良いのですが、ときどき実際の心臓の動きと違う図が表れることがあります。その現象の中の一つをダブルカウントといいます。
心電図に表れるものにT波とR波というものがあります。
T波が高いと心電図のモニターがそれをR波と判断してしまうことがあります。そうすると心拍数が2倍に表示されます。これを「ダブルカウント」といいます。
心電図が合っているかどうか確かめるのには、脈拍数を測り比べてみます。
心電図で計測された心拍数と脈拍数に大きな誤差があるときには、もう一度心電図の波形の中のT波とR波をチェックし、T波などが大きくなっていない誘導波形を確認してから、その誘導にモニターの誘導を変えます。
また、ダブルカウント以外にも心電図が実際の心臓の動きと誤差を出すときがあります。
・アーチファクト
体動(体が動くこと)などによる心臓の動き以外の揺れをカウントして心電図に表れてしまうことです。原因に、体動、電極の揺れ、ほかの機械の電流からの影響、電極が外れてしまってそれが心電図に影響してしまう、などがあります。
・心室細動(Vf)
心室細動になると心電図には少ないですが表示が出ることがあります。
実際は心室が震えているだけで、心室細動が起こって3分以上放置すると脳死に至るので電気ショックを行わなくてはいけません。
【まとめ】
いかがでしたか?今回は心電図で見られるダブルカウントやその他のエラーを見てきました。
心電図は心臓の動きそのものを見るためにあり、非常に専門的な知識が必要なものです。
看護師では判断が難しい場合には医師の意見を仰いだり、複数のスタッフで相談し速やかに判断・対処を行う必要があります。