CT装置をはじめとした医療機器の耐用年数と減価償却費としての計算方法

診断用機器

【はじめに】
使用頻度や時間の経過によってその価値が減少していく「有形固定資産」を損失計上する経理処理のことを「減価償却」と呼びます。

また、有形固定資産の価値が目減りしていって、不具合が発生しそうになるまでの期間や使用可能期間を「耐用年数」として定めることで減価償却の会計処理上の透明性・公平性を保っています。

今回、CT装置などの医療機器の「耐用年数」についてお伝えしたいと思います。

【医療機器の耐用年数はどうなっている?】

CT装置などの医療機器の耐用年数はその種類によって細かく分けられています。
以下、代表的な医療機器の耐用年数についてまとめてみました。

・消毒殺菌用機器:4年
・自動血液分析器:4年
・手術機器:5年
・回復訓練機器:6年
・調剤機器:6年
・ファイバースコープ:6年
・レントゲンその他の電子装置を使用する機器、その他のもの:6年
・血液透析又は血しょう交換用機器:7年
・歯科診療用ユニット:7年           など

ちなみにCT装置は「レントゲンその他の電子装置を使用する機器、その他のもの」に分類されるため耐用年数は6年となっています。

【減価償却処理の計算方法】

ここでは減価償却の代表的な計算方法である「定額法」と「定率法」についてお伝えしたいと思います。

・定額法
毎期の一定額を費用として計上する方法です。減価償却費としての価値の減少が毎期一定のため損益計算が安定するというメリットがあります。

・定率法
この方法は固定資産の中のまだ減価償却費として計上されていない部分に一定率をかけて減価償却額を計算する方法です。この方法のメリットは償却期間の初期に減価償却費としてより多くの額計上できる点です。ただし、年数が進むにつれ、償却できる部分が減ってきたり、計算方法が複雑だったりするので注意も必要です。

【まだある計算方法】

以下、3つの減価償却費の計算方法についてお伝えします。

・級数法
定率法と同様に初期の減価償却費が多く計上されます。算術級数を用いて徐々に計上される額が減少していきます。

・生産高比例法
固定資産の価値の減少が固定資産の使用と同時に発生し、またその総利用高を正確に把握できる場合のみ利用できる計算方法です。自動車や航空機産業で利用されることが多くなっています。

・償却基金法
企業外への投資と減価償却の考え方を組み合わせた償却方法のことです。級数法や定率法とは逆に年数が経つほど減価償却費が増加していく計算になります。

【まとめ】

CT装置などの医療機器の場合、よく使われる減価償却費の計算方法は「定額法」と「定率法」です。

最後に「定額法」の計算例を示して終わりたいと思います。

・定額法=固定資産×償却率
・償却率=1÷耐用年数

ここでCT装置の初期投資費用に1億円かかったとします。
それからCT装置の耐用年数は6年ですので、
償却率=1÷6で償却率は約0.17となります。
さらにこれらの数字を上記の定額法の式に当てはめると、
1億円×0.17=1700万円となります。

つまり、減価償却費として毎年1700万円ずつ計上されていくことになります。

参考にしてみてください。

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