脳波計の操作でよく聞く時定数って何?
【はじめに】
デジタル脳波計の誕生以前に使用されていた脳波計の場合、極端な高周波や低周波の記録が難しことがありました。
しかし、アナログ脳波計からデジタル脳波計の使用へ移行していく中で、高周波・低周波の脳波を感知し調整することが可能になりました。
またそれにより正確な脳波のデータをとれるようになりました。
この正確な脳波のデータを取るためには「周波数応答」と呼ばれる周波数の精度を示す指標が不可欠で、この「周波数応答」を補正・調整する役割のものを「フィルター」と呼んでいます。
また、脳波計のフィルターと関連して表される「時定数」というものもあり、この「時定数」はフィルターの周波数を逆算することで求めることができます。
今回、そんな脳波計の「フィルター」「時定数」などについてお伝えしたいと思います。
【高周波の脳波を補正する高周波フィルターとは?】
脳波計に限らず、フィルターの基本的な原理は「不要なものを排除して、必要なものを残す」ということになります。
また、周波数の調整を行うフィルターには大まかに3種類ありますので紹介します。
・ローパスフィルター
このフィルターは名前の通り、低い周波数が通り抜けやすくなっています。つまり低い周波数を弱めることが難しくなっています。
ただし、高周波については透過率が低く、弱められてしまうという特徴があります。
・ハイパスフィルター
ハイパスフィルターはローパスフィルターの逆で低い周波数を弱め、高い周波数を透過します。
・バンドパスフィルター
このフィルターは一定の領域の周波数を通すフィルターのことで、逆に一定の領域の周波数を遮断するフィルターのことをバンドストップフィルターと呼んでいます。
昔使われていた脳波計ではこのバンドパスフィルターを応用したものも付随されていました。
【低周波の脳波を調整する時定数とは?】
時定数とは、脳波計の増幅器にあらかじめ入力していた電位の振幅が37%まで減るのにかかる時間を示しています。
つまり、時定数の時間が長くなるほど振幅が減衰するまでの時間も長くなり、低周波領域の徐波が記録されやすくなるということになります。
反対に、時定数が短くなればなるほど低周波は記録されにくくなります。
【まとめ】
脳波計の時定数は一般的に「校正波形」と呼ばれる、脳波計の状態確認と測定条件を記録として残すためのデータから求めることができます。
今回、正確な脳波記録をとるために必要な「フィルター」と「時定数」について紹介しました。参考にしてください。