脳波計のフィルタの役割とは?

診断用機器

【はじめに】
人の脳の中に流れる電流を脳波計はいったん取り込み、そこで処理を行ったのちにパソコンでデータを分析して、脳波として測定します。
脳波計の中にはデータとしてパソコンに送信することが可能になるための機器が入っています。
今回は、脳波計におけるフィルタ(フィルター)についてお話したいと思います。

【フィルタとは?】

脳波測定をするとき、患者さんは電極のついたキャップをかぶります。これからいったん「電位」をキャッチするのですが、脳波は大変に小さな信号なので、キャッチするときに脳波信号だけではなくほかにも雑音(エイリアシング)が含まれてしまいます。
この雑音を防ぐ役割をしているのがフィルタです。

脳波計にはフィルタのほかにも下記の2つの機械が付随されています。

・アンプ
前述したように脳波はとらえるのが難しく(小さな信号のため)、アンプによって増幅させます。
・AD変換器
電位をデジタルのデータに変換して、それをパソコンに送ります。

【フィルタと周波数】

周波数はラジオやテレビなどでも使われているように、脳波を測定するときに決まった帯域を持つものでα波、β波などと名前がつけられています。
脳波計の種類やフィルタを調節することでキャッチできる脳波も変わってきますが、主なフィルタは下記のものになります。

また、脳波の周波数は0.5~30Hzのものが中心となります。

・低域遮断フィルタ…低域遮断周波数が0.5~1.5Hzのものを使用します。
・高域遮断フィルタ…高域遮断周波数が60Hzのものを使用します。

そして30Hz以上の高周波成分研究に関しては「てんかん・脳神経の異常活動について」、0.5Hz以下の低周波数成分研究に関しては「脳神経の興奮性」について議論されています。またγ(ガンマ)帯域(26~70Hz)は知覚・意識に関したものとして研究され、事象関連電位やBCIでの活用が始まりつつあります。

・事象関連電位(ERP)…思考や認知がどのように脳でされているかという電気生理学的反応。
・BCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)…脳波などを検出したり、脳へ刺激を与えるなどといった手法で脳とコンピューターのインターフェース(接点・接続)をとる機器の総称です。例えば、義手であっても物を持ったとき重さや熱、動きを普通の手のように感じることを目指しています。

【まとめ】

脳波計のフィルタは脳波を測るための役割のひとつで、フィルタも高度な研究が進んでいます。これからも脳波計がさらに進歩していくことで、病気を治したり、人の脳のしくみを解明したり、体に不自由があってもBCIにより通常の人と同じような生活が過ごせるような日々が来るかもしれません。

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